アラサー女向け小説 読書レビューメモ
前置き
まず私は小説ジャンルは典型的なオタクなので京極堂や准教授高槻彰みたいなキャラもの+ミステリーが一番好きなジャンルです。
他によく読むのは
・恩田陸とかのジュブナイル+ミステリー
・村上春樹とかのSF(すこしふしぎ)
・貴志祐介とかの怖いやつ
・十二国記とかのエンタメ全振りファンタジー
などとにかく"楽しい"という感情を目当てに本を読むため一般人の日常みたいな小説はほぼ読まないのですが…
なんか数ヶ月前特にハマってるコンテンツが無くて人生に疲れていた時期に
日常に疲れてるアラサー女が私だけじゃないこと確認したいな…となって様々なアラサー女向け日常の悩み小説(どんなジャンル?と思うかもですがそういうジャンルがあるのを感じました)を一ヶ月読み続けました。
以下その時に読んだ本まとめてレビューです。
あらすじ部分はネタバレなし
感想部分はネタバレあり
自分用読書感想メモなのでつまんないとか合わないとかもふつうに書いてますが全てただの個人の感想です。
アマゾンレビューと全然評価一致しねえ〜!ってなったりしたので忘れないように自分の感想まとめておこうと思って書きました。
■大人になったら、 畑野智美
・あらすじ
主人公はチェーンのカフェの副店長をやってる35の女。
仕事にそこまでのやる気もないし結婚したいわけでもなくいまだに人生で唯一付き合った人との8年前の失恋を微妙に引きずって生きてる。
何も変わらない日常が、常連さんと話す機会があったりやる気のない新入社員が入ってきたり小さいことで少しずつ変わっていく。
・感想
転生ラノベ求めて読んだ訳じゃないのでこの新入社員と付き合うんだったらどうしよう…と思いましたが違ったので良かった。
最後も友達と東京に居たいし常連さんとももっと話したかったと思いながらもしっかり転勤したところは良作~となりましたね。
幼少期に見た美女か野獣(昔のドラマ)の鷹宮真といちご100%(昔の漫画)の西野つかさが好きすぎるせいか女が恋愛より自分の人生を取る作品が好き。
■若葉荘の暮らし 畑野智美
・あらすじ
コロナでバイト先の飲食店の経営が危うくなり経済危機に陥った主人公が40歳以上女性限定のアパートでの暮らしで穏やかな生き方を知っていく。
・感想
上のと同じ作者。
まあこんな良い人しかいない環境この世にねーよだけどそれは言ったら終わりなので…
なんか疲れたときにゆるキャン△読む代わりにこれ読んでも同じかなみたいな小説。
めっちゃ褒めてます。ゆるキャン好きなので。
すんごい嫌なこととかが起きない平和な世界。
■傲慢と善良 辻村深月
・あらすじ
婚約者の真実(まみ)が何の前触れもいなくなった架(かける)。ストーカーがいると聞いていたため犯罪に巻き込まれたのではないかと思い至る。彼女の実家に行き過去について調べ始めるが…
・感想
辻村深月さんてヤングアダルト本のイメージなので大人が対象(?)の本も書かれるのですね。
一言で言うと、一回でも”もう結婚しようかな~”と思ったことある人が全員感じたことがあるであろう漠然とした嫌な気持ちを隅々まで言語化した本。
ストーリーがというよりそこがとても興味深くて面白い。
ストーカーが嘘なのがめっちゃくちゃ初期段階からわかるのは鏡の孤城の他のメンバーがどこから来たのかめっちゃくちゃ初期段階からわかるのと同じものを感じた。
でも両作ともそれで引っ張れなくても最後まで読ませるのですごい。
ただ一章がものすごく現実的なぶん第二章が急に善人ファンタジー(ありえんくらい良い人しか出てこない。現実なら物盗られたり暴行されたり殺されててもおかしくない状況で平和に暮らせるというファンタジー的状況)でハ?とはなる。
■今日のハチミツ、あしたの私 寺地はるな
・あらすじ
ダメ男の彼氏が家業を継ぐからついて来てと言うので仕事をやめて彼の田舎に行くも実は地元の名家で父親に結婚を反対される。
その父親に養蜂業者の借金を取り立ててくるよう命じられた主人公はそれをきっかけにしてこの町での新しい暮らしを始めていく。
・感想
ダメ男がまじで最初の3ページで今すぐにこいつと別れろ!!!!!だったのでやはり別れたら人生が良くなったなというかんじ。
ご都合展開は非常に多いが主人公に自分で決めた新しい仕事や環境に文句を言わない性格のよさがあるため報われることに不快感がなく読みやすくはある。
■大人は泣かないと思っていた 寺地はるな
・感想
30代のあまり良くない家庭環境で育ったぱっとしない男が22歳の若くて可愛い女と偶然出会って自然に好き同士になって付き合う話。
ハチミツが読みやすかったから同じ作者の他のを読んでみたがなんだこの話草
若くて可愛い以外なにで好きになったのかも謎。おもしれー女()だから?
女がなんで冴えない10歳以上年上を好きになったのかも謎。同年代と付き合える。
頑固おやじ(根はいい人)とか最悪な捨てられ方した元彼に結婚式でガツンと言ってスッキリして前を向く女とかの存在のファンタジーぶりもやばい。
ラノベでも全然もっとキャラに奥行きある。
■木曜日にはココアを 青山美智子
・あらすじ
主人公が働くカフェに来る様々な女性の物語。連作短編集。
・感想
これもラブラブな可愛い老夫婦とか主夫を養う卵焼きも作れないバリキャリ(死語)妻とかまずカフェに毎週エアメール(現物)を持って来る美女とかすごいファンタジーなんだが大人は~よりイライラせずに読めるこの違いはなんなんだろうか。
おもしれー女(=ただの非常識でガサツな人)じゃないからかな…
フィクションの感想書いてるととにかく自分がおもしれー女にいかに腹立ってるかがわかってうける。ファンタジーとして素敵だな☆の気持ちで読めるけど時間を使って読むべきかと言われれば別に…とも言える。
■お探し物は図書室まで 青山美智子
・あらすじ
区民施設の図書館を様々な理由で訪れることになった様々な人々の連作短編集。
・感想
上と同じ作者。
この人の本毎回同じ構成なのかな。
色んなちょっとした悩みを持ったいろんな立場環境の人がカフェ、図書室に来て直接的にではなく小さいきっかけで悩みを解決する。
私は水戸黄門、暴れん坊将軍、古畑任三郎とかが好きなので全ての話が同じ構成なのは好感が持てます笑それを読みたいときに間違いなく読めるため。
私的にはこれは光のxxxHolicだなとおもった(?)
対価要素なしで善良な客しか来ないホリック。
あと西尾維新の人は勝手に助かるだけっていう要素もある。
■すーちゃんシリーズ 益田ミリ
・概要
コボちゃんぽい絵柄で描かれたアラサー?アラフォー?女たちの日常4コマまんが。
・感想
幻冬舎のポスターにまでなってるからすごいメジャー作品かと思いきや主人公性格、、暗ない、、?
私が言うのもなんだけどもうちょっと楽しいこと考えて生きよう…別に何歳でも楽しく生きてる人いるし…
確かに何でも出きる!会社辞めて世界一周行こう!は無理だけどもうちょっと日常生活送りながらでも何かできるし…
なんで私が登場人物を励ましとんじゃ。
■無駄に幸せになるのやめてこたつでアイス食べます コイル
・感想
これは普通にラノベとして出版されているものなので多分対象年齢がヤングアダルト。
理想上の忙しい仕事、理想上の大人女子の友達同士、理想上のあこがれの人、理想上の酒好き、理想上の汚い家、理想上の離婚というまあなんか昔の月9的なかんじのライトノベル。
個人的にはもう少し大人向けを求めていたがこれはそれを求めて読んだ私の方が100%悪い。
私的にこの理想上の忙しい仕事を書ける人ってどういった年齢層なのだ?というのが単純に気になる。批判ではなくて。
一度でも会社に入ったら会社員というのは実質刺身にタンポポ乗せる仕事と同じと分かってしまい書けなくなると思うのだが…
それともうちの会社以外は皆刺身タンポポじゃなくて本当にやりがいがある若手でも大胆な発想で躍進するような仕事をしているんですか?
つらいから知りたくないな…
■しあわせのねだん 角田光代
・内容
角田光代さんのエッセイ本。
自分にとって価値があったもの(服飾から時間まで様々)の値段とともに短いエピソードを書かれてます。
・感想
角田光代さんて賞とかめちゃ取ってるし私が過去唯一読んだことあるのが八日目の蝉なので社会の闇を交えた暗い題材も取り扱うかんじのベテラン女性作家なのかな?と漠然と思って全然読んでなかったのだが(私は最初に書いたようなエンタメ本ばっか読んでるため)
想像よりお若い方で大人になってからもクリスマスプレゼントにゲーム機を何台も貰ってる話とか自称キレやすい人柄とか親近感を覚えた。
ストレス発散に30万のテーブル買ったことを良くなかったと思ってる点などは真人間すぎてあっ私とは違うステージの人間や…と思いましたが。
私はソシャゲ課金という発散一点のおかげで不機嫌になったり人に当たったりしないで生きられてるオタクなので。最低だな。
■対岸の彼女 角田光代
・あらすじ
2歳の子持ち専業主婦の小夜子は外で働いたらすべてがうまく行く気がして清掃の仕事を始める。
そこで出会った独身女社長の葵がうらやましかった。
葵は中学生までずっといじめに遭っていて遠くの高校へ通った。
そこで出会ったクラスの人間関係なんかに囚われない性格のナナコがうらやましかった。
・感想
とりあえず小説がじょうず…プロ…全然変わった文体とかじゃないけど構成と文章力なのかなんなのか…いやそんなことわたしが言わんでも当たり前なんだが…笑
内容も妙齢女あるあるかと思いきやそれだけには全く留まらない。
これを読むと他のは全てラノベに近いなと感じた。いやラノベはラノベの良さがあるからどちらが良いとかではないですが。
私もハルヒと物語シリーズ大好きで全部読んでるし疲れてるときは軽いもの読みたいし。
思春期には確かに存在した"本物の女の子同士の親友"と、それは大人が得ることは絶対できないという現実。
でも大人はそういうことと引き換えに自分で人生を選べる、つまりたとえ昔みたいな”本物の親友”じゃなくても「もし一部分無理してたとしても友達になること」を自分で選ぶことができる。
これが””小説””。
総括
日常に疲れて読み始めましたがこのジャンルの小説をかなり履修できた気がするので満足しました。
ドラクエの転職感覚で色々なものを履修している人。
角田光代さんをあまり読んでこなかったのでこれを機に出会えたのがよかった。
あと私は感情や嗜好を言語化するのが好きなので傲慢と善良は非常に興味深かった。
”優しい気持ちになれる””ほっこり癒される”みたいな帯の本は大体基本的にご都合展開善人ファンタジーであるということを学んだ。私も帯頼まれたらそう書きます。
それが悪いという意味ではなくて、これ読んだときの私みたいに毎日疲れてパズドラしかできない状態になってる人にはおすすめできる。読んでも今以上に疲れるということがないため。
しかしだんだん生来のどうせなら楽しい感情になる本読みたいな…という欲求に抗えなくなってきたから次は三体を読みます。
もうお前はサスペンス、ミステリー、キャラ小説だけ読んでろ。はい。でも疲れたらまたこのジャンル読みます。